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ワインづくりの思想 - 麻井宇介 前編

モリモリファーム園主

父から引き継いだブドウ園が、

たまたまワイン用ブドウ園だっただけの2年前の私は、

日本でワイン作りに情熱と志を持って

取り組んでいる人たちに、質問してみたいことが2つありました。

・安価なビールで気楽に酔えばいいじゃない♪

・フランス産のワインを飲めばいいじゃない♪

1本数千円するワインから見ると、

ビールはとても優秀に見えましたし、

ワイン作りのプロにとって

フランスの銘醸地はどういう存在なのか知りたかったのです。

でも怖くて聞けなかった当時の私は、

その答えを探すために本書を手に取りました。

本の構成は

醸造家として20世紀後半の4つの時代を過ごした著者が、

当時を振り返ったワイン年代記となっています。

・産地の時代から技術の時代へ

・技術の時代から品種の時代へ

・品種の時代からテロワールの時代へ

・テロワールの時代からつくり手の時代へ

読んで驚いたことは、

情熱と志を持った著者でさえも、

確固とした自信を持ってワイン作りに取り組んでいたのでは無い!

ということでした。

-抜粋はじめ-

天恵の風土と無縁の産地は、

二流のワインをつくりつづける宿命を負っているのか。

(中略)

ボルドーという産地が内包する歴史の重みは、

ワインについて無知同然であった私をも、

守旧派とさせずにはおかなかったのである。

-抜粋おわり-

こうした迷いを抱えて揺れ動く著者の意識が

ボルドーといえども不滅ではない!

という言葉によって変わっていきます。

私が抱いた2つの質問の答えも

一応見つかったのですが、それは後編で。


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