
今回お話を聞くのは
『オーガスタファーム』プロデューサーの
坂本裕樹さん(40歳)。
農園経営の傍ら、専門学校農業大学校での
実習や地域の食育活動と幅広く活躍されています。
ではスタート!
【インタビュー】
-どのような農作物を栽培されていますか?
坂:主にブドウを栽培しています。
-ありがとうございます。
オーガスタファームプロデューサーと
名乗られていますが『農家』や『お百姓』
という肩書きではなく『プロデューサー』
としているのはなぜでしょうか?
坂:私は代々続く農家でなく新規就農者。
新しい農業のスタイルを目指す意味も込めて使っています。
また、栽培から販売・広告・営業など全て
を私一人の責任で行っております。
つまり、『プロデューサー』なのです。
-ありがとうございます。
新しい農業のスタイルについて詳しく聞かせてください。
現在主流となっている農業のスタイルは、
農業機械の利用を前提として大量生産し、
農協に向けて大量出荷する。
という工業的農業であると思います。
坂本さんが目指すスタイルというのは、
そうした工業的農業とは別のスタイルとなるでしょうか?
坂:工業的農業と比べて別か同じか?
と言われれば今の時点では別です。
十年後にはそこに行き着く可能性は
あるかも知れませんが・・・
また、新しいスタイルと言いながら
新しいことをしているのか分かりませんが
今までの農家さん栽培者ができないことを
していくことが新しいスタイルに繋がるの
ではないか?と考えています。
オーガスタファームでは栽培方法や
農薬の使用回数・内容・肥料など消費者が
望む全ての情報を公開しています。
なぜなら、安心・安全なものを提供する
ためにまずは『知ってもらうこと』が大切
だと思っているからです。
-なるほど。
坂:また、私の呼びかけで新規就農者に
特化した集団『山梨ぶどう侍』を昨年
設立し活動を始めました。
まだまだ参加人数は少ないのですが
経営者として農業を考えることを目的
として立ち上げました。
会員と準会員があり、会員の条件は一つ。
経営(売り上げや経営状態)を全てオープンにする事ができる方。
準会員は講習会や視察・勉強の参加は可。
農家子弟の方も参加してもらっています。
-経営をオープンにする理由は?
坂:経営をオープンにする理由は
客観的に経営を判断することで、
改善や工夫を共有し経営者として
切磋琢磨しながら高められる。
と考えているからです。
また『山梨ぶどう侍』と同時に組合的集団
『koshu maker』も立ち上げ、東京の大手
仲卸さんと取引をさせて頂いています。
こちらも新しい販売スタイルを模索しなが
ら(詳細は今の時点ではあまり言えません)
活動しています。
-なるほど!
10年後にはそこ(工業的農業)に行き着
く可能性はある。というのは、組合的集団
『koshu maker』の方向性次第ではということですね。
『山梨ぶどう侍』と『koshu maker』の
2つのグループを主宰されています。
組織を動かしていくのは、一人で活動する
よりも大変なのにどうしてグループを作ったのでしょうか?
坂:まずは足元である自身の農業経営が大切
ですのでそこをレベルアップしなければなりません。
しかし、主観的な経営では狭い感覚でしか
物事を見られなくなってしまう可能性が高
くなると感じています。
ですから、自身の経営の問題改善のために
グループを設立しようと思いました。
-自分がベストな判断と決断をしているのか
相互に確認しあうチームを作るのは
とても良いと思います。
最後にオーガスタファームの経営理念を
教えてください。
坂:以下の三点をオーガスタファームは目指しています。
第一.自然に近い農業を目指す
第二.子供達の未来のための取組みを行う
第三.農業後継者へのバトンタッチがスムーズにできる社会作り
-ありがとうございます。
三つの理念を実際の経営にどのように落と
し込まれていますか?
坂:自然に近い農業としては、ほぼ堆肥のみ
残りはぼかし肥料や米ぬか・貝殻を畑に入れいています。
また、剪定枝の焼却はCO2やダイオキシ
ンの発生が懸念されるので行わず、100
%再利用します。
粉砕しチップ化または環境センターに委託
して防草マルチとして再利用してもらっています。
さらに、農薬の利用はJA指導よりも50
~70%減を行っています。
第二の子供達の未来のための活動として
ボランティアで保育園の果樹栽培のお手伝
いや食育活動をしています。
今年で三年目になりますが、りんご・なし
もも・すもも・あんずやブドウの栽培や授
業をさせて頂き、おかげさまでマスコミの
方にも協力してもらい、甲府市の二つの保
育園で定期的に行っています。
第三の取り組みについては株式会社化をす
ることで解決しようと考えています。
農業の衰退は技術継承や後継者の育成が
上手く行われていない点であると思ってい
るのでスムーズに継承する意味で会社化が
今のところの最善策はないかと考えています。
-ありがとうございます。
社会的責任まで考えられた素晴らしい理念
を掲げ実践されていると思います。
私は未だ自己実現の段階に留まっているの
で見習いたいです。
全ての質問に丁寧にご回答下さいまして
どうもありがとうございました。
坂:ありがとうございました。